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2010年11月 アーカイブ

昭和から平成へ 1

昭和から平成へ。

あまり変わりがないようで、ものすごく世の中が変わったように思います。

一月八日平成元年の初日、男はいつもの日曜日と同じように昼近くまで寝坊をして、テレビをつけた。

日曜日のささやかな楽しみはテレビなのだが、テレビは昨日と同じ追悼番組一色である。

男は駅前のビデオショップに足を向けた。

ビデオショップの中はごったがえし、若い客のほかに、男のような中年も多い。

男は男なりに感傷的になっているのか、戦争直後に見た懐かしい洋画を何本か借りた。

商店街も住宅地も弔旗をたてる店や家はまれである。

帰り道、道路端に粗大ゴミの山が溢れている。

"なんと、真新しいものが惜しげもなく捨てられるのか"と、男は戦争直後の事を思い出し、ついゴミの山の前で足を止めた。

テレビ、洗濯機、冷蔵庫、それに豪華なソファーやベットに混じって、まだ乗れそうな自転車が二台も押しつぶされている。

"贅沢な。

いつか罰が当たるぞ"。

男は言いようのない腹立たしさと空しさを感じたのだ。

男たちは昭和二一年、新制の小学校に入学した。

昭和から平成へ 2

ボロボロの服を着て、栄養失調のせいか、あかぎれで手を腫らし、青鼻を垂らしていたけれど、日本が新しい平和国家に生まれ変わった年の、ピカピカの一年生だった。

食う物もろくになかったが、奇妙に明るく、以来「戦後の民主主義教育は俺たちの時代から始まった」というのが男たちの誇りであった。

もう二、三年上の兄や姉は、敗戦の日を境に先生や大人の言うことや、やることが一夜で変わるという、世の中に信じられるものがない現実を知ってしまった世代だが、わずか数年の違いで、男たちは"新しい時代が来る"というのを、まともに信じた世代であるかもしれない。

それにしても、アメリカは輝いていた。

アメリカの豊かさ、民主主義は、それこそ目の眩むような衝撃だった。

日本人の上に君臨していたマッカーサー連合国軍最高司令官がトルーマン大統領と意見が対立し、あっさり首になったのをみたとき"民主主義というのはこんなものか、なんと日本と違うのか"と教室で教師も生徒も驚嘆したのだ。

まさに、昭和は戦争と、戦争から立ち上がった日本、という時代のような気がします。

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