生協の歴史 4

生協の理念論争が最初に生じたのは1930年代で、レイドロウによるとこの時期は「経営の危機」の時代でした。


30年代は、大恐慌が世界を襲った時期であり、危機に陥ったのは生協だけではありません。


ほとんどの企業が経営上の危機に遭遇したのです。


生協においてもまた、「このやり方でやれるのか」ということが問題になってきたのです。


これは原則の問題にもかかわってきます。


さらに、前世紀末から協同組合の国際組織であるICAができていましたが、これには協同組合であればどんな組合でも加入できるというわけにはいかなくなりました。


加入するには相応の条件を満たすものでなければならず、その必要条件すなわち加入資格をめぐって、原則的・規則的なものを作らなければならなくなったのです。


こうして1930年代に原則問題が論議されるようになったのです。


そして論議の末、1937年にこの原則、すなわちICAの原則が確立しました。


いわゆる「ロッチデール原則」として知られているものです。


これは、ロッチデールの最初の先駆者たちの組合で採用されていたやり方を、改めて国際的に確認したという性格をもっています。


例えば、組合員公開(加入.脱退の自由)とか、民主的運営(1人1票)とかいった原則が7つほど決められ、これが国際的・世界的な統一原則として正式に確定されたわけです。

生協の歴史 3

今日、生協の理念、あるいは生協の考え方、あり方それ自体が問題になってきています。


事実、生協規制の論議が高まってきて、厚生大臣の私的諮問機関として設置されたのは、「生協のあり方に関する懇談会」でした。


あり方というからには、これからどうならなくてはならないかということもありますが、「生協とはいったい何なのか」という生協の本質にかかわる問題も含まれています。


実際、今日の危機は、レイドロウがいったように「思想上の危機」です。


「理念上の危機」といってもいいでしょう。


生協の理念そのものがぐらつき、問題とされてきているからです。


しかしこの危機も、歴史をたどれば今に始まったことではありません。


1980年の『レイドロウ報告』に始まるものでもないのです。


かなり以前から、生協の原則論争、生協のプリンシプルにかんする議論がありました。


プリンシプルは一般に「原理」とも訳されます。


だから、「原則論争」も一種の「理念論争」であったといえます。

生協の歴史 2

生協についても同様のことが言えるのではないでしょうか。


「生協は弱者の集まりだ」という言い方は、生協の内部でよく見られるところですが、よほど制限を設けて言うのならともかく、文字通りに主張しようとすると、それは少なくとも世間的には通用しないのではないでしょうか。


消費者個々では大企業の生産者に対して弱いといえます。


しかし、生協が「弱者の集まり」とのみいうのは、時代錯誤ではないでしょうか。


確かに生協は、その出発点では、ロッチデールの28人の貧しい人たちが集まって、なんとか生活を守ろうとして始まったものです。


しかし今日、これほど大規模になって、なおかつ「弱者の集まりである」という見方をするのは問題でしょう。


「生協は弱者の集まり」という場合は、かなり意味を限定して言わなければなりません。


消費者個人としては、今日の大規模生産者に対抗することができないという意味では、確かに弱いのでしょうが、これだけ大規模に組織化された生協が「弱い」といったら、問題が起きます。


生協の活動に脅威を感じた中小の企業が反発してくるのも、自然のことでしょう。


「いわれなき反発である」とは簡単にはいえません。


このように、生協が大きく発展したそのこと自体から、いろんな問題が起こってきます。


「生協とは一体何なのか」と改めて問われてきたのも、理由のないことではありません。


出発点と今では状況がまったく違ってきているからなのです。

生協の歴史

かつては、労働者は弱く資本家は強く、労使の争いには労働者ははちまきを締め、手を取り合ったものです。


しかし、今の労働者は労働組合という強力な組織をもち、しかも全国的な連合組織ももっています。


資本家だけが強いとは言い切れないのが実情です。


資本家は株主です。


「独占資本反対」というはちまきを締めてやっていても、家に帰ってみれば奥さんが資本家であったというようなことはいくらでもあります。


今は、資本家だから強い、労働者だから弱いということには必ずしもならず、それは一種の固定観念に過ぎなくなっています。


女性についても似たようなことがいえるのではないでしょうか。


「弱き者よ、その名は女なりき」などと大昔は言ったものですが、いま女性が弱いといえるでしょうか。


男女間にはいまだにいろいろな差別があるにしても、もしいつまでも「女性が弱い」といって物事をやっていると、一種の時代錯誤に陥ることになるでしょう。


いつまでも「労働者が弱い」といってやっているのと同じです。


お年寄りの心理状態と性格

お年寄りの特性として、自己中心性、保守性、猜疑心の強さ、グチっぽさなど、どちらかといえばマイナス面をあげる人が多いものです。

しかし、こうした特性は老化に伴うさまざまな環境の変化や心とからだの変化によって生まれたものであ
り、老化をありのままに受けとめ、逆に角がとれ周囲に調和したお年寄りも少なくありません。

心理状態と性格は、一人ひとりのお年寄りの状況によって異なってきます。

お年寄りの心理や性格に影響を与える因子として、次のようなものがあげられます。

・身体的因子

からだの不自由、視力や聴力の衰え、毛髪や歯の脱落、体力の衰えなど。

・精神的因子

記憶力の減退、好奇心の減退、意欲や気力の減退など。

・社会・環境因子

職業からの引退、家庭内における役割の交替、子の独立、配偶者や友人との死別、周囲の老人扱いなど。

お年寄りは以上のようなさまざまな因子によるストレスを受けとめ、好むと好まざるとにかかわらず老いを自覚し対応していることを知っておきましょう。

感覚機能の衰え

視覚

一般に40歳くらいから調節力の低下を自覚するようになり、いわゆる老眼になります。

暗順応も低下し、若いときよりも明るくないと字が読みにくくなります。

目測を誤ることもあります。

聴覚

はじめは高音域が聞きとりにくくなります。

また早口や雑音が混じる会話では言葉を聞き分ける力が低下します。

感覚神経

痛覚、触覚、温度覚が低下するため、ケガややけどの発見が遅れたり、内臓の痛みなども痛覚が鈍くなるため、病気を見逃してしまうこともあります。

また深部感覚の低下によりバランスがくずれて転倒を招くことがあります。

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運動器官の老化

からだの各器官の老化は運動・感覚機能にわりあい早くからあらわれます。

体力のピークは17~18歳、運動能力は25歳ごろがピークといわれます。

全身の老化は35歳前後からあらわれます。


骨・脊柱

老化に伴ってカルシウムなど骨の基本物質が減り、骨は「ス」が入ったような状態になります。

いわゆる骨粗しょう症です。

骨粗しょう症は女性に多く、骨がもろくなり、転倒などで簡単に骨折したり、脊柱が自分の体重に耐えられず猫背(老人性円背)になったりします。

関節

関節の軟骨は老化に伴いかたくなり衝撃吸収力が弱まります。

このため歩くときなどにくり返しかかる体重に耐えられず、ひざ痛を起こすことがあります。

また関節の周囲の組織も弾力性を失い、可動性が低下します。

動かさなければいっそう動きにくくなります。

筋肉・筋力

筋力が低下すると持久力も低下します。

筋力の低下は老化により筋肉がやせたために起こりますが、やせた筋肉は衝撃吸収力の低下を招くことから骨折を起こしやすくします。

また水分の貯蔵庫の役割も減退するため脱水症を起こしやすくします。

神経系

老化により神経系の働きが衰えると、動作が鈍くなって安定を欠くようになり、転倒やそれによる骨折を招きやすくなります。

また手指の動きもなめらかさを欠き、不器用になります。

からだの基本的老化

年をとると、個人の差はありますが、だれにでも訪れるからだの変化があります。

これは老化によるもので、お年寄りをお世話するうえで、ぜひ知っておきたいポイントです。

つぎのような各能力の低下によって、お年寄りのからだは弱まっていきます。


・予備能力の低下・

からだには運動や病気などのときに発揮される最大能力と、日常の活動に必要な能力があります。

予備能力とはこの2つの能力の差のことで、老化するほど減っていきます。

無理やがんばりがきかなくなるのは予備能力が減っている証拠です。

ふだん歩いているときは息切れしないのに、坂道を登るとドキドキするのもこのせいです。

・適応力の低下・

若いうちは環境の変化や自分の機能の変化に合わせて、自分を変え適応するように努めるものです。

老化が進むとこの適応力が弱くなり、自己を変えることがむずかしくなります。

・防衛反応の低下・

からだの機能が弱まり予備能力が弱まり、危険に直面した場合に自分の心身を敏速に反応させることができなくなります。

お年寄りがすぐ肺炎になったり、事故にあいやすい、ストレスに弱いなどは、このせいです。

・回復力の低下・

からだには病気や傷に対し自然回復力があるものです。

老化はその回復力を低下させます。

病気をすると治りにくくなるし、運動による疲労も若いときより回復が遅れます。

心身の老化の進み方は1人ひとり異なる

年をとれば、だれでもある程度はからだが弱ります。

老化は避けられないことです。

しかし、その結果、だれもが、「寝たきり」になるわけではありません。

東京都の調査によると、65歳以上の寝たきり老人は100人のうち1.5人くらい、準寝たきり老人を含めても3.6人くらいであり、それ以外の大半のお年寄りはふつうに暮らしています。

日本全国で「寝たきり率」は約2.2%にすぎません。

お年寄りに最後までできるだけ充実した人生を送ってもらうためには、お年寄りが持っている能力をできるだけ長く生かし、寝たきりを予防することがだいじです。

それには老化によって衰えるお年寄りのからだとその働き、そして年をとることによって生じるお年寄りの心理状態をよく把握し、あるときは励まし、あるときは手を貸しながら、お年寄りの生き方を尊重し応援していく周囲の努力が必要です。

ここでは、むずかしい老化の話は別として、年をとることで生じるお年寄りのからだとその働きの変化、そして心の状態について触れておきましょう。

ここで大切なのは、お年寄りの体力、心理状態などは、非常に個人差があるということです。

1人ひとりのお年寄りが長い人生を経験したなかで得たものは千差万別で、とても一般論ではおさまりきれません。

一般的な老化の特徴を把握したうえで、個々のお年寄りのからだと心の状況をとらえ、それに合った対応のしかたを考えることが必要です。

時間を見つけて体力チェックと体操を

お年寄りのお世話は精神的にも肉体的にもかなりの重労働です。

介護を続けるうちに腰痛や肩こりを訴える人が多くなります。

できれば時間を十分にとって軽い運動を続けることがいいのですが、できない場合には、ここであげるような姿勢チェックや簡単な体操を1日のうちに何回か時間を見つけて行うと、かなり有効です。


・腰痛対策・

動作を行うときの姿勢によって腰痛の発症頻度にかなりの差があります。

たとえば物を持ち上げるときは、必ずひざを曲げて体重ごと下に移してから持ち上げると腰への負担が少なくてすみます。

お年寄りの体位変換、あるいは起き上がりの介助なども、手先で行おうとせず、からだ全体で重心を移動するようにして行うと、力のかけ方が少しですみます。

お世話するときのベッドの高さは高めがよく、お世話の内容によっては椅子に腰かけたりしゃがんだりして腰の位置を低くしておくことです。


・肩こり対策・

精神的な緊張が肩こりをいっそう悪くします。

気持ちをリラックスさせ、大きく深呼吸して物事に対処しましょう。

肩の上げ下げ、首まわし、腕まわしなどは、チャンスを見つけては行いたい体操です。

歩きながらでも家事の合間でも心がけて取り入れてみましょう。

血液の循環がよくなる入浴後に、いろいろ動かしてみるのも有効です。

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